家を借りる時、その2~はじめに、「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いを知っておこう~
家を借りたい、となった時、毎月いくらの家賃をいつから支払うという約束などをした契約を結びますが、この契約は、大きく分けて「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類あるということをまず知っておく必要があります。
なぜかといえば、この2種類の契約は、借り手(あなた)にとって大きな違いがあるからです。
その違いは、ズバリ、あなたが住み続けられるか、住み続けられないか、です。
「普通借家契約」は、例えば2年後に一旦、契約期間が終わった時、借り手(あなた)が、そこを気に入って引き続き住み続けたいと思えば、契約を更新して基本的には同じ賃料で住み続けられる、つまり、貸し手(大家さん)に出て行ってほしいと言われても、出ていかなくてよいという契約です。
反対に「定期借家契約」は、例えば2年後とか3年後とかの契約期間が終わった時、原則、必ず出ていかなくてはいけない契約です。借り手(あなた)が住み続けたいと言っても、貸し手(大家さん)がNOと言えば、住み続けることはできないんです。
一言で言えば、「普通借家契約」は、借り手(あなた)が住み続けられる権利が強い、逆に「定期借家契約」は、貸し手(大家さん)が追い出す権利が強い契約です。
それから、借り手(あなた)にとって、住んでいる時の一番の心配ごととしては、家賃の値上げがあるかと思いますが、「普通借家契約」の場合では、家賃の値上げを要求されても、一方的に応じる必要はありません。これまでと同じ条件で住み続けられる権利がありますから、家賃の値上げを断っても当然出ていく必要はなく、契約は更新され住み続けられます。値上げについては、じっくり納得がいくまで話し合うことができます。
反対に「定期借家契約」だと、そうはいきません。契約期間が終わって、借り手(あなた)が更新(再契約)をしたいと思っても、貸し手(大家さん)から更新(再契約)の条件として、家賃の値上げを言われた場合は、それに応じなければ、必ず出ていかなくてはなりません。
借り手(あなた)にとって、自分が希望すれば住み続けられるのか、希望したところで必ず出ていかなければならないのか、大きな問題ですよね。出ていくとなれば、次に新しいところを探す手間、子供がいれば学校の問題など、手間も時間もお金もかかってしまいます。だから、この2つの契約は、同じ賃貸借契約でも、その性質は全く違うものなんです。
だから、家を借りる時、その契約は、「普通借家契約」か「定期借家契約」のどちらなのか、知っておくことがとても大事なんです。
では、どちらの契約なのかは、予め募集されるときにちゃんと明示されています。
なので、家探す時に、場所や、賃料や、間取りなどに目が行きがちですが、まず真っ先に確認することは、そもそも「普通借家契約」での募集の物件なのか、「定期借家契約」で募集されている物件なのか、です。
もし、「定期借家契約」がいやなのであれば、はじめから「普通借契約」で募集している物件だけを選ぶことです。
ちなみに、貸し手(大家さん)の立場からすると、どういう家を「普通借家契約」で、どういう家を「定期借家契約」で募集するものだと思いますか。
もちろんその家の貸し手(大家さん)の考え方にもよりますが、「普通借家契約」は、借り手にやさしい契約ですから、比較的借り手を見つけやすいので、例えば、空室が多くて困っているような場合は、「普通借家契約」で募集することを選ぶかもしれません。
また、「普通借家契約」は、通常契約期間は2年毎で、2年毎の契約更新の際に更新料といって家賃の1ヶ月相当分のお金が入る場合が多いので、こうしたことをメリットと感じて、「普通借家契約」で募集することもあります。
一方、「定期借家契約」は、貸し手(大家さん)にやさしいので、契約期間が終わった際には、家賃を値上げしてもらうか、さもなければ出て行ってもらい新しい借り手を探すか、貸し手(大家さん)の裁量で自由に決められます。また、将来自分で住むとか、または、空室にして物件を売る予定があるなどの理由で、「定期借家契約」で募集することもあります。
基本的には、借り手がたくさんいそうな人気のある物件なら、貸し手(大家さん)の自由度が高い「定期借家契約」、そうでない物件なら「普通借家契約」で募集するケースが多い気がします。
とにかく、まずは、「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いをよく理解した上で、家選びを進めるようにしましょう。